「よし。無理でも生き残るぞ」
世界観は同じなのに、1巻とは趣きがまったく異なる物語。
しっかりとSF。しっかりとハード。もうどっから読んでも超楽しい。
こんな作品がわずか650円で読めてしまって本当によいのか……
今年のベストかもしれない。
以下、箇条書き方式でひったすら壁打ち。
当然のようにネタバレならびに本編引用を含みます注意。
・まほいく方式*1だったらどうしよう…と思っていたけど口絵を見たらそうじゃないみたいで安心した。
前巻が一冊で綺麗にまとまっていたので心配していたけど、どうやら要らん心配だったようだ。
・前巻はミシェルが好きだったけど、今巻はウルスラちゃんがお気に入り。
つよくてかわいくてかっこいいアホの子。
でもシャロンもアイシュ先輩もめちゃくちゃ魅力的で迷う。
・新任教官、幼なじみヒロイン、教え子の女の子たち(による擬似ハーレム)…… と、あくまでライトノベルらしい要素でコーティングされた1巻とは打って変わり、今巻は冒頭から最終章に至るまで全編ハードモード。
キャラクターこそ賑やかなものの、ストーリー自体はどシリアス。
あと単純な能力モノ(異能バトル物)と見せかけておいて、その実態はゴリゴリにSFですね?
非常にロジカル。
・しかしいくらなんでも誤字脱字が多すぎである。
個人的には 地本草子「夜明けのヴィラン 聖邪たちの行進」以来の酷さ。
(あれもほんと酷かった…… 物語そのものは面白かったから余計にしんどいつらい)
校正さん仕事して。
・↑の話だけど、いくらなんでもこれは無いわ…… となったシーンが以下。
えらく気難しい表情を浮かべた少女がそこで浮遊している。
(中略)
目の醒める色をした赤髪を、子どもっぽくツーサイドアップで纏めており、エメラルドグリーンの瞳を深海に燦然と輝かせていた。
で、こっち↓
少女はえらく泣きっ面であった。
瞳を真っ赤にし、これでもかってほど鼻を啜っている。
二箇所でまとめた綺麗な銀髪、ファッションドールのような華奢な美少女だっただけにかえって痛々しい。
これ、どっちもウルスラの容姿の説明ですよ。つまりは同一人物の描写。
頼むから髪色を赤か銀で統一してくれ……
イラスト担当のあさぎりさんの解釈的には赤みたいだけど。もしかして紙版は違うのかな?
キッついこと言うようでなんですが、お話にのめり込んでる最中にこんなの来ちゃうとちょっと醒めてしまうんだよねぇ。
これでストーリーがあほみたいにつまらないのなら別に良いんだけど(良くない)、本作はめちゃくちゃ面白いので余計にアレなんだと思う。
……話が脱線した。
今回は初めての陸戦。それも、足元が不安定な車両の上。
ただし、援護に対する不安は不思議と少なかった。
二つの銃身が同時に現れ、シャロンを挟むように陣取ったのだ。
「ちびっ子、合わせて撃つぞ。相手の足を遅らせる」
「了解! ところでウルスラと呼んでもらえれば感激であります、ミナト殿」
ここ、絵面と台詞がカッコよすぎて死んだ…………
ヒェェ胸熱……………… これは映像で観たいすぎる………………!!
そんでミナトとアイシュの先輩後輩コンビも相変わらず最高でしたね。
やっぱこの二人、本当に、めちゃくちゃ尊いです(´;ω;`)ウッウッ
「悪いわね、化け物」
笑う。シャロンにしては意地の悪い、明確な『敵』を認識した上での笑みだった。
敵意。この日一日で、いろいろな心の機能を同時に取り戻した気分だ。
恐怖とか。悲しみとか。憎悪とか。希望とか……
それと、妹にちょっとでも良い格好を見せたい『お姉ちゃん根性』とか。
「お前らに見せ場なんてあげない。───そのまま、死んでいきなさい」
シャロンお姉様がかっこよすぎてしんどい。
「……あたしが祖父ちゃんなら、あんたのこと心底誇りに思うわ」
「もったいない言葉、であります」
アイシュワリンとウルスラのやりとりも男前で良いですね。
・ミナト、アイシュワリン、シャロン。
トリプル主人公と言えなくもない三人が好きです。しかし全員心情描写がつらいです……