「で、名はなんと言う」
「舞面真面」
「まとも? まともというのか?」
「何か?」
「おかしな名だな。まともな名前ではない。まともなのにな」(p84)
ははぁなるほど。
読後に上記の引用部分のやりとりを見ると、なんか妙に腑に落ちる感覚があっておもしろい。
タイトルの印象も結構変わるなー。
(全然関係ないけど、あとがきにある “健康ランド小旅行小説“ で不覚にもわろた)
[映]アムリタ同様、本作もある意味二度読み返したくなるお話ではある。
以下気になったところだけ箇条書きメモ。
かなり意欲的にネタバレしているため色々と注意。
◇曾祖父が遺した遺言書の暗号を解いてお宝ゲットや!(※ついでに美人の彼女もできる) みたいな話と思わせておいて、実際は二体の化け物を現世に解き放つ話だった。
文字通りの意味での化け物と、比喩としての化け物の対比が面白い。
真面こわいよ真面……
◇根っからのツッコミ体質である二見くん*1と比べると、真面は淡々として落ち着いた子だなと思っていたけれど、あぁ、なるほどそういう……?
伏線というほどではないにしても、なるほど納得感がすごい。
◇熊さん結局何も関係ないのかよとか、逆に関係ないと思っていた三隈がそうなるかとか、舞面水面マジでただの親戚の子じゃんか(くっつくタイプのヒロインじゃねぇのかよ)とか、驚くポイントは色々あった。
個人的に最後の水面のやつが一番びっくりした。
◇いや不憫すぎる。完全にとばっちりで哀れ。でもちょっと楽しそうでいいな。 >エピローグの三隈さん
あとほかにメインじゃないっぽいキャラクターでいうと、蒔田がすごくうざそうな人で(最大の賛辞)よかった。
しかしあれで彼女持ちなのか… ゲフンゲフン
彼はもうちょっとじっくり見たいキャラだった。
◇アネキャンとセブンティーンの下り、わかりみ〜〜〜って言いながらめちゃくちゃ面白く読んだのだけど、ん……? よく考えたらアレ全部面のおばけのセリフだった……???
とはいえTSUTAYAやカラオケに行く場面で流行歌にも詳しいって真面くんが言っていたし、本当に暇すぎてあらゆる娯楽を摂取してきたのか、おばけ。
若干微笑ましい気持ちになるから色々と困る。
◇結局まとめると、真面がお面のおばけの封印を(半分だけだったけど)解いて、お面のおばけが真面に虚構の仮面を外させたわけだよね。
うわぁそりゃ遊び相手という名のパートナーにもなるわ。
だって世界の何もかもに退屈していた二人が、自分を解き放ってくれた相手にわずかでも興味を示さないわけがないもの。
…私の中でタイトルの印象がこのあたりでちょっと変わってきたかな。
◇やはりというか、みさきにお面を外させた場面は二段構えの一段目(?)だったか。
意地でもひっくり返そうとしてくるよね、野崎まど。嫌いじゃないよ。
◇舞面彼面の経営手腕の真相、身も蓋もなさすぎて笑う。
◇しかし、やばいやつ(人間)を書き続けるのがこのシリーズのコンセプトなのだろうか。
だとしたら今後もなかなか楽しいことになりそうだなぁ。
関連作を図書館で一気に借りてきた 挙句、返却期限が差し迫っている ので続きも読みます。
( ´-` ).。o(次は死なない生徒か。)
*1:[映]アムリタの主人公であるところの二見遭一くん。