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ミステリ強化週間(だった) 読んだ本3つ+α

まとめ。
最近読んだものの中で特にミステリしてたものです。

基本的にあらすじ/トリックの詳細には触れておりませんが、感想の書きぶりからなんとなくわかってしまうかも。

というわけでかなりネタバレ注意です。


ハサミ男

普段はSNSのコメント欄と漫画の台詞くらいしか文字を読まないうちの弟が、出し抜けにこの本を読み始め、数日後には読了のち絶賛していた。
……これがあまりにも珍しい光景だったので、気になったわたしはすぐさま貸してもらいました。

本書を読み始めた経緯は確かそんな感じです。


正直言っちゃうと、この作品が叙述トリックものとしてあまりにも有名であることと、弟の「読む前から騙されていた」という最悪の発言をうっかり耳にしてしまったことから、メインの仕掛けがどうなっているのか完璧に解ってしまっていて、読了後は「まあそうなるわな」みたいな微妙な気持ちになりました。
決定的なネタバレこそ踏んでいないのですが……

悔しい。これは何も知らずに読みたかったな───!

そんなことより、作中ではほとんど重要視されないちょっとした描写から、主人公の抱える強烈なファザーコンプレックスだとか、被害少女である樽宮由紀子が有するサイコパス性なんかが垣間見えて背筋がぞわぞわする。
後者なんか結構深刻な闇だと思うんですけど、サラッと流されるだけで作中ではろくすっぽ追求されないんですよねー、こういう話の本筋に直接影響しない毒要素、超好き。

話の本筋には特に影響させないあたり、あえて毒を混ぜているっぽく見せているのかな、とも。


刑事パートが絶妙に読みにくく、途中で上記のネタバレ爆死なんかもやらかしたので、ちくしょうめ!!! と思っていたんですけど、最終的にハサミ男の正体も、模倣犯の正体も、樽宮と会っていた謎の男の正体も、目撃者=日高光一の正体もすべて綺麗に判明したので、とりあえず最後まで読んで良かった、かなぁ。



「十二人の死にたい子どもたち」

あ────────面白かった最高に好き!!
伏線もそのミスリードも巧く、推理パートでのパズルのピースが嵌るかのような感覚は非常に気持ちがいい。
またそれぞれキャラクターが良く立っているんだよね。
12人もの人間がいるにも関わらず、大した混乱もなく(これ誰だっけ? ともならず)最後までスラスラ〜と読み通せたのはキャラ立ちがしっかりしているからだと思う。

わたしはセイゴとシンジロウが好き。

簡易的な登場人物一覧すら載っていないのを知ったときは、マジかコイツ…… と思いもしたけど。
※ハードカバー版の話です。文庫の方は知らん。


最終的な話の落とし所やそれに伴う読後感はさすがに予想されたものではあったけれど、むしろそれで正解と言うか、「そうそう、これこれ」という感じでスッキリ爽快、文句なし。
本当に、「こういうのでいいんだよ」としか言いようがない。
熾烈な心理戦、各々が抱える後暗い事情、日常に埋没する狂気と異常性、その全てが好み。

(一見阿呆っぽく見える子であっても実は鋭い勘を備えている、とかめちゃくちゃ好き)

わたしの求めるものが
さやか全部詰まった、大満足の一冊になりました。

そういえばすっかり忘れていたけど、わたしはこの手のクローズドな投票&議論ミステリ(なんだそれ)(人狼ゲームの話し合いパートとかだよ)が大好物なのでした〜。

もしかして:土橋真二郎



「六人の赤すぎんは今夜食べられる」

少女たちが理不尽且つ凄惨に殺されるパニックホラーということで、とりあえず思い出したのが魔法少女育成計画と絶深海のソラリス

それに人狼的な推理&サスペンス要素と、②駆け引きが重視される異能バトル要素を足したような感じ。
なんと言っても「猟師」に「狼」だもんね。

まとめると、パニックホラー(スプラッターホラー)+犯人探しミステリ+能力バトルもの(頭脳戦・心理戦)で、一粒で三度おいしい*1的なお得感がある。


最初は硬めの地の文(一人称小説だけど…)と、「っ!」「!?」のような漫画的な表現、いかにもラノベ的な少女たちの軽い口調*2がどうにも噛み合わんな〜 と思っていたものの、途中からあまり気にならなくなりました。
多分、作中の世界に馴染んだからだと思う。

肝心のトリックや、能力=秘薬の力もこの設定、この世界観ならではの仕掛けでよくできていた。
「賢すぎる狼」ことジェヴォーダンの獣も手強い敵として十分魅力的。その正体も、もう、もうね…………
そのほか互いの思考の読み合い、そのうえで精神がヒリつくような駆け引き制限のある力をどう活かすか、など能力バトル物の醍醐味もばっちり味わえるよ!

そして何より主人公萌えが可能。

総じてポイントが高く、おすすめ。


しっかしチューリップちゃんの

「たくさん可愛がってから毒をあげると、悲しそうな顔をするけどちゃんと食べるんです。律儀ですよね!」

から滲み出る明るく健全な狂気ヤバすぎほんとすき。
律儀ってなにそれどういう感想、、、 こわい子ですブルブル



僕だけがいない街



「夢で見たあの子のために」

*1:ちょっと意味が違う。

*2:決してラノベ(っぽい)口調が悪いわけではなく、硬めの地の文から浮いているように感じられて違和感があった。それだけです。